コロナがもたらした在宅医療の変化
新型コロナウィルス感染症に全世界が振り回されてきましたが、少しずつその終息が見えてきたように思えます。
あい友会本部がある群馬県太田市では、蔓延防止が延長されて、3月21日までになりましたが、それまでに第6波は収束するでしょう。
そしてそれ以上に、世界中で、コロナウィルスの扱いが、たとえばインフルエンザと同じレベルになり、日本もそれに追従していくと思われます。
2年以上に渡って続いた新型コロナウィルスとの戦いも、世の中の仕組みに大きな変化をもたらして、終わろうとしています。
非コロナ患者が最期を迎える場所
在宅医療の世界では、どんな変化がもたらされたでしょうか?
いくつもあると思いますが、今日はその中で、ひとつだけ取り上げてみます。
それは、最期の時を自宅で迎える人がとても増えたということです。
とにかく、現在病院に入院していると、コロナの感染拡大防止のために面会ができない。
それなら最期が迫ってきたら、とにかく自宅に帰って、最期を迎えたい。
あるいは家族からしたら、自宅に連れ帰って、最期の時をともにして、思い出を語り合ったり、感謝の意を伝えたい。
このように考えて、短期間でも、自宅に戻る方がとても増えたのです。
時わずかでも大勢の努力をそそぐ
つい最近も、がんが進行し、意識混濁し、病院に緊急入院したけれど、治療法がないと言われ、面会もできないと言われたので、2日間で自宅に戻ってこられた方がいました。
午前中に自宅に戻った時も、残念ながら、意思疎通はできない状態でしたが、呼びかけに大きな声を発していたので、なんとなく自宅に戻り、家族に囲まれているということは、わかっていたのかもしれません。
その日の夜、旅立たれました。
わずか半日の帰宅でしたが、ご家族からは、感謝の言葉をいただきました。
たったこの半日のために、大勢の人々の努力がある。
私は在宅医として、この努力はとても大切なことと感じています。
オリンピックで活躍する選手たちに向けて、多くの人たちが努力を集中することとちょっと似ているなんて感じたのは、パラリンピックが開幕したばかりだからでしょうか。